もう一つの那智勝浦
10月のオヤジ倶楽部「食と健康の旅」は、一言で言えば、美味しかった!
那智勝浦と言えば有名な温泉の街で、駅前で目にする商店街と林立する巨大ホテル(有り体に言えば、ありきたりの温泉街)のイメージ。しかし、温泉街を少しでも離れれば、聖地「熊野」の豊穣な自然と神秘さ、その中に息づく田舎暮らしを味わうことができます。今回の目的地はそんな「もうひとつの那智勝浦」−色川と浦神の漁港です。
色川地区はかつて林業と鉱山で栄えましたが、ご多分に漏れず高度成長期以降過疎が進行しました。そんな中で、地区内の学校の存続をかけて、Iターン者の受入が行われてきました。30年の歴史を持つ受入によって、現在は集落人口の1/3弱(144人)、55世帯がいわゆる新住民になっています。過疎に逆行する地域として、中山間地域の研究者には全国的に知られた地域です。かつて学童を連れてやってきた若夫婦もすでにオジサン、オバサンになり、今回のご案内は当地の「オヤジ倶楽部」にしていただきました。
この色川では、棚田の復元作業が行われています。保存ではなく、復元というのがちょっとすごい。というのも、耕作放棄された田んぼを元の状態に戻すのは容易なことではないからです。棚田の風景というのは、日本の原風景として私たちの心に何かを訴えてきます。それは、風景というものがその地域で暮らす人たちの生活と価値観を反映しているからではないでしょうか。経済効率が悪くても、地域の水と土を愛し、協働作業を大切にしている人々の姿が棚田に表れているのだと思います。
今回の旅では、特別なことはしませんでした。こうした風景を見て回りながら、Iターンの人たちと語らい、彼らが何を求めて熊野に来たのか、そこに何を見いだしたのかを実感することに意味がありました。
とは言っても、やはり那智勝浦に来たら、海の幸と温泉ははずせません。
まず、海の幸。初日の昼食は名物のマグロを地元の名店「竹原」でいただきました。赤身、中トロ、大トロの大振りな刺身が乗った定番のマグロ定食に「はらぼ」の塩焼きを添えて。「はらぼ」は腹の身で、この塩焼きは絶品。奪い合いに近い状態になりました。
二日目の昼は浦神漁港に行って、漁師料理を特別に作っていただきました。鯛やハゲなどの地魚を炊き込んだ味噌汁の出汁は伊勢エビで取ります。食いきれないぐらいの伊勢エビを贅沢に使って、エビ味噌の味噌汁という感じでした。地元の魚を素朴に料理した品々も並んで、おじちゃん、おばちゃんとの話も尽きるとことがありません。特に、銛一本で鯨を捕るという漁師の話はいずれオヤジ倶楽部で紹介したいと思います。
最後の締めはやはり温泉。ただし、有名な勝浦温泉ではなく、隣の湯川温泉に行きました。あまり有名ではありませんが、地元の人たちお勧めの良泉です。その中でも、源泉かけ流し100%にこだわった「きよもんの湯」に浸かり、先ほどの伊勢エビの気持ちなど想像しながら今回の旅行を終えました。
<レポ=大澤>
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